【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね~(52)

縄文時代の土器工房

大野原遺跡展示館  縄文の里

島原市教育委員会社会教育課主任 宇土靖之

 大野原遺跡は、平成8年に有明総合文化会館の建設に伴って行われた発掘調査で、およそ3500年前の縄文時代後期の土器作りの拠点であったことが明らかとなりました。
 大野原遺跡展示館では、この調査で発見された縄文土器や土器づくりに関わる遺構を展示しています。遺構は、遺構の表面を「剥ぎ取り」という技術で切り取って、館内に展示しています。その一つは「粘土貯蔵穴」です。土器作りの材料となる生粘土を貯蔵しておく地面に掘った穴のことで、遺跡内で8カ所が発見されています。そのうち最大のものは、長さ約5m、幅約3.5m、深さ約1mの規模があります。また、この中に貯蔵されていた生粘土は遺跡周辺の地下3mに堆積している黄褐色粘土層とよく似ており、中に含まれる鉱物などの成分を比較分析したところ、同質のものであることが分かっています。大野原の縄文人は、川岸などに露出しているこの粘土層から土器の材料となる粘土を採掘したことが推定できます。
 そして、土器作りに欠かせない焼成の痕跡が「焼土跡」です。これは火を焚いたと考えられる痕跡のことで、遺跡内で44カ所が発見されています。大きさは平均して1.5mほどで円形に広がっており、中央部がすり鉢状に赤く焼け締まっています。この中には焼けた粘土の塊が見られ、縄文土器の野焼きする際に草の上に被せた泥が焼けたものとみられます。他に、粘土をこねて器の形に仕上げるといった土器作りに関わる様々な作業に使われたと考えられる「作業小屋跡」も発見されました。
 このほか、縄文時代の人々の生活の様子をジオラマや映像で再現しています。
 詳しくは、大野原遺跡展示館  縄文の里HP(http://www.city.shimabara.lg.jp/page2960.html)をご覧ください。