【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね~(50)

「如己愛人」による恒久平和実現を伝える

長崎市永井隆記念館・如己堂

館長 永井徳三郎

 長崎市名誉市民第一号の永井隆博士は医学者として放射線医学の研究に心血を注ぎ、長年の激務の中で 大量の散乱放射線を浴びたために、余命いくばくもない白血病に罹患、さらに昭和20年8月9日の原子爆弾に被爆し重傷を負いながらも、苦境の中を身を挺して被災者の救護にあたりました。
 『倒れてのち始む~病床に倒れたといえども、まだ働く部分を探したら、手と目と頭があった。』
 昭和21年末以降、白血病の悪化により寝たきりの身となった隆のためにカトリック信者仲間より贈られた、畳2畳ほどの小さな家「如己堂(にょこどう)」で、隆は「長崎の鐘」や「この子を残して」をはじめ十数冊の著書を執筆、悲哀に耐え復興に勤しむ人々を慰め励ましました。隆はそれらの印税で得たお金の大半を長崎市に寄付するとともに、原爆によって打ちひしがれた子供たちのために、私財を投じて「うちらの本箱」と名付けた図書室を作り、子供たちの心に光明をともしました。
 この図書室をもとに、昭和27年に長崎市立永井図書館が設立、その後、隆の精神と偉業を永く記念するために長崎市立永井記念館と改称して、遺品や書画等も併せて展示するようになり、平成12年には全面改築し、「長崎市永井隆記念館」と改称して、隆の願いであった《如己愛人~己の如く人を愛する~の精神による恒久平和実現》を今に伝え続けています。
 詳しくは、長崎市永井隆記念館・如己堂HP(http://www.city.nagasaki.lg.jp/sisetsu/5090000/p011038.html)をご覧ください。