【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね〜(34)

私学の歴史を訪ねて〜東山手地区最古の遺構〜

長崎市旧居留地私学歴史資料館(東山手十二番館)

長崎市観光政策課 吉田栄作

 オランダ坂を上ると、右手に旧居留地の雰囲気を漂わせる洋館が見えてきます。この洋館は国指定重要文化財の東山手十二番館で、現在、長崎市旧居留地私学歴史資料館として活用されています。
 私学とは、キリスト教宣教師が教育活動を通じた布教の目的で設立した学校、いわゆるミッションスクールのことで、明治期、外国人居留地の東山手地区には、活水女学校やガールズ・トレーニング・ホームをはじめとする数多くのミッションスクールが建てられました。資料館では、そのミッションスクールの歴史を紹介しているほか、外国人居留地時代の歴史資料やメソジスト派(婦人外国伝道協会)の宣教師が使用していた家具、食器棚などを展示しています。
 資料館の建物は、明治元年の建設と推定される初期洋風建築の代表例で、東山手地区では現存最古の遺構です。竣工後ほどなくロシア領事館が置かれ、その後、アメリカ領事館、アメリカのメソジスト派の宣教師などの居宅として使われました。
 正面側の3面に及ぶ幅広のベランダをもつ主屋と、背後の附属屋および別棟からなる堂々たる構えで、中廊下型の平面構成も当時の領事館建築の特徴をよく示しています。また、外壁の下見板張りは国内で最古の事例でもあり、全面吹放ちとした床下の造りやベランダ列柱の上部に付く円弧形の刳り抜き装飾をもつ板状の持送りなど建物構造が珍しいものとなっています。
 入館無料ですので是非一度ご来館ください。

 詳しくは東山手十二番館(旧居留地私学歴史資料館)HP(http://www.at-nagasaki.jp/spot/106/)をご覧ください。