【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね〜(21)

 300年の歴史と伝統を今に伝える                     

長崎市べっ甲工芸館

長崎市経済局文化観光部観光政策課 大久保雄二

 大浦天主堂下電停から徒歩約2分のところに、正面を長崎港に向けて建つ煉瓦造平屋建てで正面両端に三角破風を配した建物があります。明治時代の税関施設であり国の重要文化財に指定されているこの建物は、検査所・倉庫・事務室など当時の税関施設の状況をよく伝えるとともに、海岸通りの景観形成にも重要な役割を担っています。
  長崎市は、平成10年から約4年間の保存修理工事を行い、平成14年4月に「長崎市べっ甲工芸館」として開館いたしました。
  当館では、歴史と伝統につちかわれた、べっ甲細工の技術と技能を保存するため、全国各地から集められた貴重な作品約300点を展示するとともに、ビデオの上映を行っています。併せて税関に関する資料等も展示しています。
  日本におけるべっ甲細工の歴史は約300年で、長崎でべっ甲細工が発達したのは、徳川幕府の鎖国政策によって、長崎のみがオランダと中国との唯一の貿易港となり、べっ甲原料を容易に入手できたからです。
  漆黒の躍動感あふれる「天馬」や希少な飴色の材料だけを使った「宝船」など、日本人の持つ華麗で繊細な感性に裏付けられた技で製作された見応えがある貴重な展示品のほか、その製作工程も紹介しております。海からの贈り物を伝統の技術・技能で工芸品にまで高めた逸品をぜひ一度ご鑑賞ください。
 詳しくは長崎市べっ甲工芸館HP(http://www.bekko.or.jp/bekko.html)をご覧ください。