【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね〜C

長崎の風景や人物を数多く描く

野口彌太郎記念美術館

長崎市経済局文化観光部文化財課  学芸員 入江 清佳

 野口彌太郎は、近代日本洋画壇を代表する画家で長崎県にとてもゆかりが深い人物です。彼は、4度の渡欧を経験し、ヨーロッパで画家の主観的な感覚を重視し、強い色彩で絵を描く、フォービズム(野獣派)的表現を学び、更に生来もって生まれた洗練された色彩感覚を生かし、多くの優れた絵画を残しました。
 野口彌太郎と長崎の関わりは、父親の郷里が長崎県北高来郡小野村(現在の諫早市)であったことからはじまります。幼少期に短期間滞在したこともあり、戦後両親が住まいを郷里に移してからは、毎年のように長崎市を訪れました。特に、長崎市内の東山手・南山手地区を気に入っており、「長崎は絵の画材(モチーフ)が非常に豊富である。ことに大浦は一見、うすよごれた様な町がつづいているが、どの一角をとらえても絵になる。」と述べています。言葉の通り、野口は長崎の人物・風景などを多く描きました。
 この野口の愛した異国情緒漂う旧居留地に、平成5年、長崎市野口彌太郎記念美術館は開館しました。美術館はこの地区のシンボル的な建物である旧長崎英国領事館を活用しており、多くの市民や観光客が訪れました。現在は、建物の老朽化に伴う保存修理工事のため、長崎市平野町の平和会館1階に仮移転中です。
 本美術館では、昭和初期のヨーロッパ滞在時の作品から絶筆までの油彩・水彩・デッサン等337点を収蔵しており、このうち年2回の展示替えを行い常時約40点の作品を公開しています。是非当館にお越しいただき、味わい深い野口彌太郎の絵画をお楽しみください。
 詳しくは野口彌太郎記念美術館HP(http://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p007786.html)をご覧ください。