【県内美術館・記念館めぐり】 行ってみんね、来てみんね〜B

新たな日本画の世界を創造した画家の美術館

須加五々道美術館

長崎市経済局文化観光部文化財課  学芸員 入江 清佳

 須加五々道美術館は、旧居留地である長崎市南山手町に、平成14年11月開館しました。幕末に開かれた外国人居留地の街並みが今も残るこの町は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。建物は、明治中期にロシア人の実業家G・ナパルコフによって建てられた木造2階建ての洋風住宅「南山手乙9番館」を活用しています。
 須加五々道画伯(1913〜2008)は、長崎市旭町に生まれ、長いヨーロッパでの生活と、中国をはじめとする世界各国への歴訪を経て、画材・技法・表現に相違はあっても絵画としての途は一つであると確信し、世界に通用する新しい絵画技術の創造を目指しました。
 画伯の作品は、水墨画の技術を基調に、西洋美術の遠近法を融合させた独特の画風で、「新日本画」と呼ばれています。繊細な墨線で描かれた日本の風景美・自然美は、色、光など人の目でとらえられる現実を越えた美を感じさせます。
 美術館では、1階、2階に絵画約20点を展示しています。ミントグリーンの壁面に合うように、額縁やマット紙などを画伯が自ら選んでおり、洋館と日本画という一見ミスマッチのような組み合わせが綺麗に調和しています。
 当美術館を訪問いただき、新しい絵画表現を完成させたすばらしい須加画伯の絵画と、歴史ある町並み、建物を是非お楽しみください。
 詳しくは須加五々道美術館HP(http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/suka/index.html)をご覧ください。